下水道調査
トイレが流れない等という個人宅からの問い合わせは常にある訳ですが、最近は「マンションの1階で下水が溢れた」「詰まっているが原因が分からない」等、管理会社や建築会社からの問い合わせが特に増えています。昭和期に建設された建物が老朽化し、敷地内の下水管が陥没して流れなくなった等、様々な原因が考えられるのですが、全てのケースにおいて入念な調査が必要だと考えられます。
本日も至急確認に来て下さいとの依頼が入りましたので、ワカマツを代表する詰まり抜きのプロであるX氏と見習い2名が現場へ急行しました。この建物は昭和57年に竣工した鉄筋コンクリート5階建マンションで、1階にはテナントが入っています。過去にも3回程マンホールから下水が溢れた事があるそうで、その度にマンションの管理会社が下水管の高圧洗浄等で対応しているとの事です。今回も下水が溢れ出した為、高圧洗浄をしたとの事でしたが、度重なるトラブルの原因を究明したいとの事でした。
現場に到着後、すぐに下水が溢れ出したマンホールからスコープカメラを通して配管の状況を確認します。清掃済みとの事もあって、最初は鮮明に配管内部を撮影できましたが、途中から水没して殆ど見えない状況に。そんな中でもスコープカメラを押し進めていくと、間もなく行き止まりとなり撮影作業を進められなくなりました。そこでX氏はスコープカメラの進んだ距離や方向等を割り出し、問題の場所に少しでも近いマンホールへ移動します。2つ目のマンホールを開けて再び調査を行った結果、インバート桝とコンクリート部の陥没及び配管の沈下(逆勾配)を発見。
これにより、沈下した配管やインバート桝部分に固形物が蓄積するのと同時に逆勾配で下水が逆流、更に沈下したコンクリート部の隙間から水分だけが流れ出し、固形物だけが残る環境が出来上がっていたのです。
今回の調査で原因は判明しましたが、修理を行う事はできませんでした。それは何故かと言うと、修理に伴い入居者の生活は勿論の事、入っているテナントさんの仕事を休業させなくてはならないからです。しかも、1日とかで終わる工事であれば良いのですが、今回の様な古い建物の下水道管修理工事となると掘削してから修理を行い、最後に埋め戻すまで最低でも1週間の時間が必要。更に、昔の構造物の場合だと電気配線など想定外の埋設物がある可能性もあり、酷い場合だと半月程度は修理期間を要するからです。従って修理を行う為にはテナントさんや入居者さん、管理会社が話し合った上で行う必要があります。
この様な建物が日本中に沢山あり、時と共に劣化していき修理が必須となる。一番簡単で早く、安く修理できる方法を提案し、街の人々の力になるのも私共の仕事です。